糖 wikipedia|無料辞書
糖(とう)とは、多価
アルコールの最初の酸化生成物であり、
アルデヒド基 (-CHO) または
ケトン基 (>C=O) をひとつ持つ。アルデヒド基を持つ糖を
アルドース、ケトン基を持つ糖を
ケトースと分類する。
一般的には
炭水化物(糖質)と同義とされることが多いが、厳密には糖は炭水化物より狭い概念である。糖質化学、分子生物学などでは炭水化物の代わりに糖質ないしは糖と呼ぶ場合が多い。一方、生化学では炭水化物と呼ぶが、徐々に糖質と呼ぶようになりつつある。
栄養学では炭水化物のうち、人間によって消化出来ない「
食物繊維」を除いた物を「糖質」と呼ぶ(単に「炭水化物」と呼ぶ事もある)。
糖質の栄養学・エネルギー代謝に関する事項は記事
炭水化物に詳しい。
◆ 糖の構造
◇ グリコシド結合
単糖はヒドロキシ基とカルボニル基(アルデビトまたはケトン)をもつ直鎖 (open chain) 構造と自己のヒドロキシ基を巻き込んで環状アセタール(ないしはケタール)の環構造の二つの構造をとることが出来る。環状アセタールを形成する際に、自己のヒドロキシ基とともに他の糖のヒドロキシ基を巻き込んで環を形成することで、糖が連結した多糖が形成される。
糖が環を形成するとき、通常は環を含む平面に対して構造が非対称な為、グリコシド結合も環平面に対して上向きと下向きの二つの構造をとりうる。下向きにグリコシド結合を生成する場合をα-グリコシド結合、上向きの場合をβ-グリコシド結合と呼ぶ。両者は化学的、物理的、生物学的に性質が異なる。たとえば、グルコースがα1→4結合で多数連結すると、アミロース(
でんぷん)となり、β1→4結合で多数連結すると
セルロースとなる。
グリコシド結合は一般名で個々の糖については
グルコースならグルコシド、
ガラクトースならガラクトシドのように糖名+オシドで表記する。2種類の糖による結合の場合はアセタールを形成する糖の名前で呼ぶ。そのため加水分解酵素は同じ糖類に作用するとしても酸素を挟んでどちら側でグリコシド結合を分解するかによって名前が異なる。例:
ラクトース分解酵素は
ヒトではβ-グルコシダーゼ、
大腸菌ではβ-ガラクトシダーゼ。
◇ エピマー
多くの
不斉炭素を持つ
異性体の集合で、1箇所の不斉炭素が異なるだけの
ジアステレオマーを相互にエピマーと呼ぶ。もともとは糖の2位の炭素原子の置換基の向きが異なる異性体の関係を表す語であるが、現在では糖以外の化合物を含めてジアステレオマー一般に対してこの概念は適用されている。
例えばD-グルコースの狭義の(2位の)エピマーはD-マンノースだけであるが、今日ではD-アロースとD-ガラクトースもエピマーの関係にあると言う。
◆糖の分類
単糖2分子がグリコシド結合により1分子となったものを二糖といい、単糖3分子が結合したものを三糖という。単糖2分子 - 20分子程度が結合したものをオリゴ糖という。さらに多くの単糖が結合したものを多糖という。
糖の
ヒドロキシ基を水素に置換したものを
デオキシ糖、アルドース末端の炭素を
カルボキシル基に置き換えたものを
ウロン酸、ヒドロキシ基を
アミノ基に置き換えたものを
アミノ糖、ケトン基やアルデヒド基がアルコールに還元されたものを
糖アルコールと呼ぶ。
環状ヘミアセタールにおいて、五員環の物をフラノース、六員環の物をピラノースと呼ぶ。基本的に糖の種類によって大多数がフラノース若しくはピラノースとなるが、(例えば、グルコースは殆どがピラノースとなる。)若干の異性体を含む。つまり、大多数がピラノースでも、若干のフラノースを含む。
また、炭素の数によっても分けられる。糖を構成する炭素の数が3つであれば三炭糖(トリオース)、4つであれば四炭糖(テトラオース)、5つであれば五炭糖(ペントース)、6つであれば六炭糖(ヘキソース)、7つであれば七炭糖(ヘプトース)となる。ただし、このような名称は専ら単糖にのみ用いる。
◇ 主な糖の分類
;グルコース二分子からなる二糖