フーコーによれば
ヨーロッパにおける
刑罰は人道的観点から
身体に対する刑罰から
精神に対する刑罰へと移行していった。つまり刑罰が進歩したというよりもその様式が変化し、新しい権力作用が出現したというのがフーコーの主張である。近代の刑罰において専門家の
科学的知見が重要な役割を果たしており、
犯罪者の
精神鑑定を通じて
人間を評価する。このような人間を対象にする学問は人間諸科学と呼ばれ、これはある
規範的観点を分析に導入することで人間の狂気を規定する。つまり知識によって刑罰における
権力を根拠付け、また相補的な関係を持ちながら共に作用することが分かる。これがフーコー独自の権力概念である「権力/知(Pouvoir-savoir)」である。
またこの権力をさらに
解剖学的な見地から観察すれば、監獄における権力の技術には規律という形態を認めることができる。規律は恒常的に従順な身体を生み出す方法である。18世紀後半の
兵士たちは
基本教練を通じて動作や姿勢を矯正され、また命令に服従する従順な身体を作り上げることが可能となった。つまり規律は身体の精密な管理と恒常的な拘束を可能とする権力の技術である。
この著作ではイギリスの思想家
ジェレミー・ベンサムの
パノプティコンという
監獄の構想が紹介されている。この建築物は円形になっており、中心部に監視塔が配置され、そこを中心に円状に独房が配置されているが、監獄に対して
光が入るために囚人からは監視員が見えない一方で監視員は囚人を観察できる仕組みになっている。このような構造物において監視員は囚人に対して一方的な権力作用を効率的に働きかけることが可能である。囚人は常に監視されていることを強く意識することで規律化され、従順な身体を形成していくのである。