原子量(げんしりょう)または
相対原子質量(そうたいげんししつりょう)とは、『一定の基準によって定めた元素の原子の質量』
[原子量、『理化学事典』、第5版、岩波書店]である。その基準は歴史的変遷を経ており、現在の
IUPACの定義
["IUPAC Gold Book"外部リンク参照]によれば1個の原子の質量の
原子質量単位に対する比であり、Eを原子や元素を表す記号として A
r(E) という記号で表される。すなわち
12C原子1個の
質量に対する比の12倍である。元素に
同位体が存在する場合は核種が異なるそれぞれの同位体ごとに原子の質量が異なるが、ほとんどの元素において同位体存在比は一定なので、原子量は存在比で補正された元素ごとの平均値として示される
。同位体存在比の精度が変動するため、公示されている原子量の値や精度も変動する。
同位体存在比は、精度を高めると試料の由来(たとえば産地、地質学的年代)によって厳密には異なる
[すなわち試料ごとに異なる同位体存在比が年代測定法の原理や鉱物の産地特定にも利用されている]。測定精度の向上と各試料の全天然存在量予測の変動により、同位体存在比の精度が変動する。そのことにより
IUPACの下部組織である原子量および同位体存在度委員会 (CIAAW) により定期的に「原子量表」の改訂が発表され、これが「標準原子量」と呼ばれている。その改訂は隔年で行われ、奇数年に発表されている。
日本化学会原子量小委員会はこの表をもとに原子量表を作成し、日本化学会会誌「化学と工業」4月号で毎年発表している。
原子量が変動するとは言え、化学反応等で定量的取り扱いが必要な有効桁数(例えば有効数字で4桁程度)ではその値は十分に安定しているので実用上は問題を生じない。一方、精密分析や公示文書の値を計算する場合は、最新の原子量表の値を使うべきである。