たとえば、「末期癌が発見された高齢者にその予後を告知するべきか」という問題が生じた場合、
自律(autonomy)という倫理原則を倫理的根拠にして考えると「患者の自律を重んじて告知するべき」という結論が導ける一方、
無加害(non-malficience)という倫理原則に依拠すると「患者にショックを与えるような告知は避けるべき」という全く逆の結論が導き出せる。「告知をするべきか/しないべきか」という臨床的問題を、「
自律と
無加害のいずれの倫理原則を重視するべきか」、という倫理問題のレベルで考えた際の、臨床現場での葛藤が、医療の倫理ジレンマである。