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利子(りし)とは、貸借した
金銭などに対して、ある一定利率で支払われる対価。
利息(りそく)と利子は通常同じ意味で使われるが、借りた場合に支払うものを利子、貸した場合に受け取るものを利息と使い分けることがある。また、銀行預金では利息、郵便貯金では利子と呼ぶ。法律用語としては利息を用いるのが通常である。
米の貸し借りの対価として支払われる「利子米」のように、利子は金銭以外で支払われる場合にも用いられる用語であるが、金利(きんり)は金銭での対価に限って使う用語である。
◆定義
利子は金額を指す。
利率(りりつ)は元本(
債券の額面)に対する1年間の利子の割合を指す。
利回り(りまわり)は、投資金額に対する1年間の利子の割合。
金利は金額と割合のどちらも指す。金額は増減で、割合は高低である。だから、利子が増えるとは言っても、利率が増えるとは言わない。おなじく、利率が低いとは言っても、利子が低いとは言わない。
経済学的な定義では『将来時点における資金の、現在時点における相対的な価格』という。また、法律学的な定義では『元本債権の存在を前提とし、元本使用の対価としてその金額と存続期間に比例して、一定利率をもって支払われる金銭その他の代替物』である。
もっとも、実際の金融取引における利子の本質については、上記の定義のように単に金銭の時間的な価値のみで説明しうるのではなく、利子とは、金銭の時間的価値、金融機関の提供するサービスの対価、債権の貸倒れに対する保証料ないしは保険料などが複雑に合成されたものと見ることもできる。ただ、サービスの対価も保険料も、時間が経過し「将来」となっていくことと密接であるため、金利と時間の関係は不可分である。
金利の高低は経済の景気動向を左右することがある。政府や
中央銀行が
公定歩合を変更することによって基準金利を決定できる場合が多い。経済学的には、貨幣市場における価格に相当する。
金利には、名目金利と実質金利が存在する。名目金利は、額面にかかる金利である。実質金利は名目金利から期待インフレ率を差し引いた分である。名目金利は0%より下がらないのに対し、実質金利はマイナスがあり得る。
◆利子の本質
法学においては、消費貸借契約あるいはその他の金融取引における、一定期間における目的物の利用の対価を利息という。したがって、もはや利用が許されない弁済期経過後においては、期間に応じて一定割合で付される金銭がある場合は、それは「利息」ではなく「遅延損害金」である。一般に、利息は利息契約によって生じるものであり、遅延損害金は元本返還債務の不履行による損害賠償(又はその予定)により生じるものである。
ファイナンス理論においては、金利は、通常は、貨幣の
時間的価値と
信用リスクの対価としての性質を有するものと考えられる。理論的には、無リスク資産に付される金利は貨幣の時間的価値のみを反映したものである。
◆単利と複利
利子の計算方法には大きく分けて単利と
複利の2つの方法がある。単利は元本を変化させずに利子を決める。複利は元本に利子を加えて次回の利子を決める。
元本をa、単位期間当たりの利率をpとすると、n回の単位期間を経て利子がついたときの元利合計は、単利の場合
a(1+np)
となるのに対し複利の場合
a(1+p)^n
となる。
◆金利の表示方法
;年利 :元金に対する1年間の利息の割合、単位は%である。
;月利 :元金に対する1ヶ月の利息の割合、単位は%である。
・月利(%) = 年利(%)/12
;日歩(ひぶ) :元金100円に対する1日あたりの利息で金利を表したもの。単位は、
銭(1/100円)、
厘(1/10銭)、
毛(1/10厘)である。
:日歩(銭)=年利(%)×100/365
◆日数の計算方法
短期借入時の日割計算の際、3通りの数え方がある。
;両端入れ(りょうはいれ) :借入日と返済日の両方を日数として数える方法。
;片落ち(かたおち) :借入日から返済日のうち、借入日を計算からはずして数える方法。
;両落ち(りょうおち) :借入日から返済日のうち、借入日と返済日の両方を計算からはずして数える方法。
たとえば、1月1日から同年の1月15日までの日数計算をそれぞれの方法で行うと、以下の表のようになる。
◆実質年率、アドオン金利
借入金を複数回で返済するときの金利を考える場合、毎回の返済ごとに借入残高が減少するように扱う方法と計算上で借入残高を減少しないと扱う(仮定する)方法がある。前者を実質年率、後者をアドオン金利という。
以下に計算例を示す。
3万円を毎月1回ずつ3回で返済することにする場合。なお、毎回返済する元金は1万円ずつとする。
・実質年率12%(=月利1%)の場合の利息
:返済1回目、借入残高3万円×1%=300円
:返済2回目、借入残高2万円×1%=200円
:返済3回目、借入残高1万円×1%=100円
:利息の合計600円
・アドオン金利12%(=月利1%)の場合の利息
:返済1回目、計算上の借入残高3万円×1%=300円
:返済2回目、計算上の借入残高3万円×1%=300円
:返済3回目、計算上の借入残高3万円×1%=300円
:利息の合計900円
同じ金利の%であっても、アドオン金利の方が利息が高くなることがわかる。
◆経済と金利
資本主義社会においては経済活動に金融は不可欠であり、その利率は経済の動きに密接に関わっている。そして、金利を左右しているのが
中央銀行の貸し出し利率である
公定歩合である。そのため経済政策において公定歩合の設定は非常に重要な位置を占める。
一般に、金利が低ければ預金のメリットは低くなり、低利で融資を受けることができるので、投資が増えやすくなる。海外の投資家からみると金利の低い通貨を保有するメリットは少ないため通貨の価値は相対的に下がり、輸出が増え輸入が減る傾向になる。投資の活発化により景気が向上した場合に投資対象として通貨が上がる場合や将来のインフレ率が高まると予想されて長期金利が上がる場合もある。
これとは反対に金利が高くなると、預金のメリットが高まり、融資を受けて事業に投資するリスクが高くなるので、投資が増えにくくなる。海外の投資家からみると金利の高い通貨を保有するメリットが多いため通貨の価値は相対的に上がり、輸出が減り輸入が増える傾向になる。そのため過熱した景気を冷ます効果が期待される。
このような関係から、公定歩合を引き下げる政策は金融緩和、引き上げる政策は金融引き締めと呼ばれる。
◆歴史
利子は現代社会の生活においては疑うべくもない生活の一要素である。預金に対する金利の利率が低ければ預金保有者の生活に影響が出るとして、一定以上に保つことが要求される側面がある一方で金銭を借りる側の立場からすると、金利は低ければ低いほど良いと考えることができる。
長いスパンで見ると、現代のような利子、それも複利の利子による経済が堂々と大規模に行われるようになったのは最近のことと言える。利子を禁ずるというのは、現代では奇異なことのように思われるかもしれないが、世界史の流れの中では取り立てて特異なことではない。
アリストテレスはその著書『
政治学』の中で、
「貨幣が貨幣を生むことは自然に反している」 と述べているし、
旧約聖書においても
「あなたのところにいる貧しい者に金を貸すなら(中略)利息を取ってはならない」 (出エジプト記22:25)、あるいは
「金銭の利息であれ、食物の利息であれ、すべて利息をつけて貸すことのできるものの利息を、あなたの同胞から取ってはならない」(申命記23:19)と記されている。
:
註:旧約聖書は、正確には「貧者」と「同胞」への利子を禁じているだけである。申命記23章20節では外国人からは利息を取っても良いと明言している。キリスト教とユダヤ教は互いに異教徒であるため、この規定から『ヴェニスの商人』に見られるような「ユダヤの金貸し」の増大を招いたという見方もある。だが実際には、中世ヨーロッパの金融を支えていたのはイタリア人キリスト教徒であった。
また、単に借金の棒引きとイコールで捉えられることの多い、
日本史で登場する「徳政令」であるが、基本的には「利息がついている契約」のみが対象であった。借金の返せない民が増え、徳政令の出番となるのは、多くの場合「元本を返済する能力があったとしても利子(
鎌倉時代当時の言葉で「利平(りひょう)」と言った)が膨らんでしまう」ためであった。
さらに、
シルビオ・ゲゼルは金利が社会にもたらすさまざまな悪影響について考察し、
自由貨幣と呼ばれる減価する貨幣の導入で金利を廃止しようとした。
さらに、「利子」は「単利」の場合のみ認めるが、「複利」(利子の額を元本に組み込んで計算する)の利子つき金融を認めない例もある(
ローマ法以来、多くの立法例で複利計算は禁止されていた。日本
民法においても、利息の元本繰り入れは、契約によることを要し、その旨の約定がなければ単利計算となる)。
:複利計算に関しては、復古主義としてではなく、近年の脱
資本主義的思想・運動からの疑義もある。マルグリット・ケネディはこのようなたとえを用いて複利計算の矛盾を問うている。
・利子 page1
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