シャーレ上で
培養した組織を患者へ移すといった手法を用いる。将来的には遺伝子操作をした豚などの体内で人間の臓器を養殖するという手法も考えられている。自己組織誘導については、
細胞と、分化あるいは誘導因子(シグナル分子)と、足場の3つを巧みに組み合わせることによって、組織再生が可能になるとみられており、従来の材料による機能の回復(工学技術にもとづく
人工臓器)には困難が多く限界があること、
臓器移植医療が移植適合性などの困難を抱えていることから、再生医学には大きな期待が寄せられている。
熱傷の
植皮のため、
皮膚の表皮細胞を培養したい時、あらかじめ制癌剤を投与し増殖をストップさせた
NIH3T3細胞を土台にすると、
線維芽細胞による表皮細胞の駆逐を抑え、表皮細胞のみを増殖させることができる
[培養皮膚で尊い人命が救われた一例として、1990年広範囲熱傷を負ったコンスタンチンに札幌医科大学付属病院で移植治療を施したケースは有名である]。この方法を用いてMIT(
マサチューセッツ工科大学)のグリーン博士らは切手サイズの組織を3000倍に増殖させることに成功している。しかし、現状の皮膚培養では
毛穴や
汗腺の再生が不十分であり、より完全な皮膚の再生を目指して、研究がすすめられている。実用化が進んでいるのは皮膚培養だが、
軟骨・
関節の培養の研究も推し進められている。
再生医学の英訳としてよく使われるものに「
Tissue Engineering」と「
Regenerative Medicine」がある。前者は直訳すると
組織工学であるが、日本語の
組織には「
Organization」の意味もあり混乱を招くことから、
生体組織工学や組織再生工学などの日本語訳が使われることが多い。また再生医学や再生医工学と訳されることもあるが、一方でいくつかの関連する
学問の総称として再生医学があり「
Tissue Engineering」はそのひとつの分野であるという考え方もある。後者の「
Regenerative Medicine」は直訳すると
再生医療である。再生医学と再生医療を混同させた記述はよく見られるが、日本語の意味から考えると、再生医学は学問の分野であり、その成果を生かした現場での
医療が再生医療である。(たとえば
ES細胞を用いた再生医学の研究は行われているが、再生医療はまだ実現していない。)このように再生医学にあてはまる確立した英訳はなく、それぞれの研究者、研究機関がそれぞれの解釈で使用しているのが現状である。